その不安・ストレス・うつ・体調不良は文明病?—ずっと考えていた事が一つにつながった本「最高の体調」

最高の体調~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~を読んで

ハードワークで体を壊してから、現代の働きすぎの生活と健康には関心がありました。

なんとなく、睡眠不足は良くない、食べ過ぎは良くない、体を冷やすのは良くない、といった事はもちろん分かってはいるのですが、
とにかく生活の仕方から仕事の仕方、休日の過ごし方など、いったいどうしたら良いのだろうと思っていました。

色々思う事はありましたが、どうもぼんやりとした考えがあるだけで、具体的に何をしたらいいのかとかは全く思いつかなかったのですが・・・。

ぼんやりと考えていたことがものすごく綺麗にまとまっている本に出会えました。

疲労・肥満・不眠・不安・病気・老化 文明病から脱却し、本来の自分を取り戻せ!!

帯には「疲労・肥満・不眠・不安・病気・老化 文明病から脱却し、本来の自分を取り戻せ!!」とあります。

ざっくりと目次を並べると

  • 第1章 文明病
  • 第2章 炎症と不安
  • 第3章 腸
  • 第4章 環境
  • 第5章 ストレス
  • 第6章 価値
  • 第7章 死
  • 第8章 遊び

どれもこれもしっくりくる内容ばかりで、その上どの章にも「へえ、そんなこともあるんだ」という新しい知識(まあ私が無知なだけなのですが)があり、久しぶりのお値段以上に満足できた本でした。

内容としては、進化論をベースに現代人の「文明病」とは何か、ケアするにはどうしたらいいかが書かれています。

現在の人類の基礎ができたのが680~700万年前。
1~2万年前にようやく農耕生活に移行したばかりの私たちは、古代の環境に最適化してきたと考えるのが自然で、現代の生活様式には対応できていないというのが前提になっています。

「食」ひとつ取っても、「肥満」なんてものは古代には存在しません。

この人類の進化と現代のミスマッチが進化医学の根底になります。また、体の不調だけでなく、心のトラブルや脳のパフォーマンス低下も、やはり進化のミスマッチが原因だと考えられる、と著者は言っています。

体調不良の自覚症状がある人は、実際の炎症レベルも高い

いくつか抜粋すると、第2章の「炎症と不安」で

研究チームは約5万人のスウェーデン人男性を集め、簡単な質問に答えてもらいました。

「全体的に見て、現在のあなたの『健康状態』はどれにあてはまりますか?『とても良い、良い、普通、悪い、とても悪い』」

続いて被験者の炎症マーカーを調べたところ、興味深い傾向が確認されました。この質問に「体調が悪い」と答えた者ほど、体内の炎症レベルが高かったのです。

要するに、主観的に「なんだか体調が・・・」と感じている人は、その時点ですでに体内が燃え盛っている可能性が大きいと言えます。

(中略)謎の不調と炎症は明確に連動しているのです。

やっぱり私たちが通勤や寝不足、ストレスなどで体調が悪くなっていると感じている時は体内で何かしらの炎症が起きているんだ!と妙に納得しました。

うつ病も慢性炎症が原因の一つの可能性も

慢性炎症は、脳の機能にも激しいダメージをおよぼします。代表的な例は「鬱病」です。その原因には諸説ありますが、それまで有力視されていたのは脳の化学物質に注目した説でした。

(中略)現在の抗鬱剤も、脳内ホルモンを調整する作用があります。ところが、鬱に苦しむ患者の中には、抗鬱剤が効かないケースがよく見受けられます。

(中略)脳内ホルモン仮説では説明がつきません。その代わりに注目され始めたのが「鬱病の炎症モデル」です。人体が何かのダメージを受けてサイトカインという炎症性の物質が分泌され、脳の機能に影響をあたえるという考え方です。

とあります。
確かに、「何年もうつ病の薬を飲んでるのに一向に良くならない」といった話もよく聞きます。
私は医者ではないので何とも言えないのですが、脳内ホルモンを調整する薬を飲み続けても一向に効かないのであれば、原因が想定とは違うもの(ここでは炎症性の物質)というのは納得がいきます。

ちなみに、うつ病に関しては、最近興味がある「進化心理学」でも今までの脳内ホルモン仮説ではなく、『「鬱病」を生物学的な進化上の適応だとみなす』との説があるそうです。

Ore Changさんのツイートが面白いので貼っておきます。
個人的には、「ヒト個体の生存を確保させる」ために「うつ」になるのに、それが悪化した場合には自殺してしまう事も多いのは、やっぱりある種のエラーかバグな気もするのですが・・・。
それとも古代の状態であれば自殺にまで至る個体は少なかったのでしょうか。

“偽物の自然”にもリラックス効果が!

他に面白いな、と思ったのは第5章の「“偽物の自然”にもリラックス効果がある」ですかね。

都会に暮らしていると自然に触れ合う機会も少なく、かといって毎週キャンプやハイキングに行くなんて事もできません。(してる人はいるでしょうが)
そこで、なんとデジタルの「自然音」や「自然画像」もかなりの効果があるそうです。
また、一歩進んで、観葉植物一つでもかなりの効果があるそうで、

「350人のオフィスワーカーを対象にしたある実験では、観葉植物を前にしながら作業をした被験者は幸福度が47%アップし、作業の効率が38%も上がったそうです。」

これすごいですよね・・・。「幸福度が47%アップし、作業の効率が38%アップ」って、何のドラッグ・・・?と思います。

まずはPCやスマホの壁紙を森や海の風景に変え、通勤電車の中では風や潮騒の音を聞くのが、いまの暮らしに自然を取り込むはじめの一歩になります。

と書いています。
これで効果があるならやってみる価値ありますよね。
通勤電車などストレスでしかないので、そこを少しでも和らげられるなら・・・。

最後に

こんな調子で古代の生活と現代の生活のギャップに人間の進化がついていけなくて起こる体や心のトラブルをざっくり網羅して解説してくれています。

特に第5章の「ストレス」は働く現代人全員が読むべきだと思います・・・。
いや、全章読むべきなんですけど、この章は必読です。
「過剰なストレスが全身を壊していく」「寝不足が続くとダメージを修復できない」など、キーワードだけ聞けば「そんなの知ってるよ」と言いたくなるようなことも、ちゃんとデータやその状態が起こるシステムを書いてくれているのでスッと理解できます。

なんだか自分の考え方や体調に違和感がある時など、また何度も読み返したい本でした。

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